陰の王子様
軽く目覚めてから2日後
たった今、完全に目が覚めた。
ジョセフさんたちが見守る中、医師だという男性に診察されている。
未だに自分の状況が飲み込めないが、医師によると私は毒物を飲まされたらしい。
その自覚がない私は他人事のように、話を聞いていた。
「強い毒物だったので、これからも少し体の倦怠感や軽い発熱があるかもしれませんが、徐々になくなると思います。」
「何か体に違和感などはありますか?些細なことでも言ってください。」
「…いえ、大丈夫だと思います。……すみません。まだ飲み込めてなくて。」
理解できていないため、てきぱきと診察する医師の手を追いかけてしまう。
「そうですよね。すみません矢継ぎ早に質問して。」
「いえっ、全然そんなことないです…。」
声が優しいから問い詰められてる感覚は少しもない。
「今のところ問題はないようですね。」
「良かったっ!ありがとうございます、ボニーさん」
「いいえ、僕は何も出来なかったです。…今日は帰ります。報告もしておきますね。」