陰の王子様
「覚えているかな。貴族みたいな人が来て、君たちみんなお菓子貰ったんだろ?」
その言葉であの時の記憶が思い出された。
「はい。ここの野菜を使ったから食べてと貰いました。」
「それに毒物が入ってたんだ。」
「………え?」
思考が止まる。
毒物…?
「子供たちはみんな症状が出たんだ。だから、全部のお菓子に毒物が混ざってたことになる。軽症の子が多かったのが救いだ。」
「あ、そうなんだ。……良かった。」
ホッとしていると、ジョセフさんは眉間に皺を寄せ、
「レティシアは桁違いに重症だったんだ。」
ホッとしている私に怒ったような表情で言った。
「レティシアがお菓子を食べた時はどんな状況だった?みんなと一緒のところから1つお菓子を取ったの?」
「…いや、直接貰いました。」
頭の中であの時を思い返しながら、ジョセフさんに話していく。