陰の王子様




「私は、みんなが嬉しそうに食べてるのを眺めてたんです。…そしたら、1人、雰囲気の違う女性に手渡されて……、食べてみてと言われたので、その場で食べました。」




眉間の皺がなくなり、今度は眉を下げているジョセフさん
心配をかけてるのがひしひしと伝わり、申し訳ない気持ちになる。




「……実はな、その毒物を仕込んだのが、国王の側室、エレン妃だということが分かったんだ。」









言葉が出ない。



……何で?ばかりが頭を埋め尽くす。






「おそらく、レティシアに手渡したのがエレン妃だ。そして、今回の事件は最初から、レティシアを狙った犯行だったと分かっている。」




「……私、何か、やったんでしょうか。」




国王の側室と会ったことは、騎士団にいた時でもないと言い切れる。

自分の知らないところで命が狙われていたと、ようやく理解した。




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