陰の王子様





「………そろそろここから出た方が良いのかな。」




そんなことも度々頭をよぎる。
もし、また私が狙われて、カナヤのみんなが巻き込まれたら…、と考えると、1人でひっそりと生きていた方が、絶対に良いと思う。




太陽が昇っているのを見ながら、今後のことを考えてる。



「やっほーー。」




緩やかな声が聞こえて、振り返って見れば、ここでは絶対見ない人が手を振っていた。



「ジン!?何してるの!?」


「シンア久しぶり〜。」


"シンア"
久しぶりに呼ばれたその名にビクリとする。



もうすでに忘れかけていた。
すぐにレティシアを奥にしまい込み、シンアのスイッチを強引に入れる。



「何か任務か?」

「んー、んーー…。」



頭を抱え、唸るジン
急に何してるんだと、怪訝な顔で見ていると、




「そうだっ!俺、辞めたんだよねー!行くとこなくてフラフラしてたら、シンアがいたからさー!運命だと思ったよ!」


「辞めた!?……辞めたって、第二王子の側近を!?」



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