陰の王子様
でも、ジンは表情を変えることなく、
『そうなんだー。俺、シンア可愛いって思ってたんだよねー。』
なんて言って、さらりと受け入れられた。
読めない人だけど、ジンが来てカナヤの生活がより楽しくなったのは事実。
私がみんなといたら悪影響しかないと、みんなの輪に戻ることに躊躇していたら、
『何、シンアいじめられてんの?俺がいるから安心してよ。』
からかうような表情でそう言った。
いじめられてないことはきっぱりと否定したが、これから不安だったために、ジンの言葉はおふざけだったとしても、気持ちが軽くなった。
「ジン、何してるの?」
「ん?ああ、シンア…じゃなくて、レティシア」
シンアが抜けないなぁ〜なんて言いながら、ジンは空を見上げている。
「待ち人待ってる。」
「……空から人が来るの?」
何を言っているんだと、私もジンの真似をして青空を見上げる。
すると、ピィーーーィと鳴き声が微かに聞こえた。