陰の王子様
「来た来た。」
鳴き声が徐々に鮮明に聞こえ、一羽の鳥の姿が見える。
「おーーい。」
ジンは大きな声で呼ぶわけでもなく、独り言ぐらいの大きさで、じっと眺めていた。
すると、上空を飛んでいた鳥が下降し、こちらに向かっており、最後にはジンの腕へと綺麗に止まった。
「……この鷹。」
あの鷹だ…!
「ジンの鷹なの!?」
「ん?いやいや、違うよ。……友達の鷹」
ジンの友達、…やっぱり貴族の人の鷹なのか?
ジンは鷹の足にくくりつけられてた紙を取り、腕に乗せたまま、今住んでるジョセフさんの家に入ろうとする。
その後ろを静かについていけば、私に気づいた鷹がバサバサと飛んで来て、私の肩に止まった。
「知り合い?」
「…何というか、知り合い、なのかな……。」
じっと止まっている鷹に配慮して、動作がゆっくりになる。
「…そうか。なら、そのまま俺の部屋にいなよ。そいつ行儀いいから家の中で飛び回ったりしないだろうけど。俺の部屋ならジョセフさんに許可取ってるから。」