陰の王子様





「思うままに返事しなよ。それが1番。」


「うん。」




ジンの部屋を出て、自分の部屋で手紙を何度も読み返す。


…お礼だなんて。
私が勝手に頼んだのに。





『お返事ありがとうございます。お礼は大丈夫ですが、私がお礼をさせて欲しいです。』












それから手紙のやりとりは続いていき、気づけば1ヶ月が経っていた。



名前も顔も知らない人なのに、こんなにも手紙のやり取りが楽しいのは、見知らぬ私のお願いを信じてくれた人というのがあるからだろうか。


この人は良い人。
………良い人という軽い言葉で済む話ではないけど、そのくらい名前も知らないこの人を信頼している。




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