陰の王子様



そして、数日後

お礼はいらないと断った私の手紙の返事と一緒に鷹が小さな花束を咥えてやってきた。


鷹が咥えられるギリギリの大きさで、ジンも『よく落とさず持ってきたよ。さすがだなー。』と言ってご褒美の餌をあげていた。



色んなところからたくさんの白い小さな花が咲いてる。

1つの花だけで作られた花束はきっと鷹のことを考えてだろう。



花束から優しさが滲み出ている。
…この人に会ってみたい。


そんな気持ちになり、ドキドキして手紙を開く。


『気に入ってくれると嬉しい。』



それだけだった。

その一言だけ書かれた手紙と鷹が頑張って持ってきてくれた花束に胸がいっぱいになる。

それと同時に私も何かお礼しないといけないと、考えに考えた。




< 207 / 383 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop