陰の王子様
「その箱どうした?」
「あ、これヴィルに運んでもらいたくて…。」
「ヴィルの主に?」
「うん。…ヴィル良いかな?そんなに重くはないと、思うんだけど。」
ヴィルの負担を1番に考えた結果、ハンカチにした。
ハンカチであれば、立場の高い人でも何かしらの使い道があるだろうと思って。
上手に咥えて飛んでいったヴィルの姿を眺めながら、不思議と心の中で願っていた。
いつか会えますように。
それから手紙のやりとりはなくなった。
私があの時、返事を書かなかったからだろう。
…やっぱり、ハンカチはダメだっただろうかと考えていた時もあった。