陰の王子様
「レティシア、王都へ行かないか?」
ジョセフさん夫妻と私、ジンで夕飯を囲んでいると、ジョセフさんが改まった様子でそういった。
「良いですよ?野菜の売り込みですか?」
「いいや、王都に戻ろうと思ってな。…元々は王都の人間だったんだ。」
……ということは、住まいを王都に、ということ。王都にまでついて行き、お世話になるのは申し訳ない。
「…あの、これ以上お世話になる訳にはいかないので、私は1人で暮らします。」
「レティシアちゃん、私たち、あなたを自分の子だと勝手に思っているの。……よかったら、養子にならない?」