陰の王子様
まさかの事実に私は現実味がない。
ジョセフさんご夫妻はウィザリア王国の侯爵家
お2人で休みの日にお出かけに出たところ、馬車が何者かに囲まれ、気を失い、気づいたらカナヤにいたと。
『その黒幕は第一王子だったよ。』
その言葉に怒りを覚えた。
またあの男かと。
『まあ、その襲撃した奴らの中にサンチェさんがいてな、サンチェさんは第一王子側に入ってた第二王子のスパイだったからさ。サンチェさんがお2人をカナヤにこっそり連れて行ったってわけ。もちろん事故死にして、遺体は谷底に落ちたとか言ってね。』
…サンチェさん、やっぱり敵じゃなかったんだ。
ホッとした。
サンチェさんに酷いことされた覚えない、むしろ気遣ってくれたし、勉強も熱心に教えてくれた。
『一通り片付いたから戻って来て欲しいって言われちゃってね。』