陰の王子様
「何してるの。さっさとやりなさい。」
突然後ろから声が聞こえ、振り向くとライラ様がいた。
汚らわしいものを見るような目で私と男を見ている。
「貴方、目障りなのよね。」
ドンッと強めに押され、ソファに再び叩きつけられる。
「イオ様は私のものなのよ!」
大きく手を振りかぶるライラ様
その行方を見ていた私は、窓の外に煙が見える。
「待ってください!火事っ!!」
パチンッ!!と乾いた大きな音と私の声が響いた。
「…ふんっ。いい気味。気を逸らそうったって無駄よ。」
「ライラお嬢様!屋敷のどこかから火が上がっています!今すぐに避難を!!」
使用人さんの言葉にライラ様を始め、皆が絶句し、慌てて部屋を出ようとドレスを翻す。
悲鳴を上げながら走って出て行く御令嬢たちを見ていると、ゆっくり男が立ち上がった。
「火の中愛し合うのも良いな。」