陰の王子様
そう言うと、さっきのライラ様のように頬を叩かれ、首を軽く絞められる。
「言うこと聞かない子には、こうしないと。」
徐々に息が苦しくなってくる。
それに、焦げ臭い匂いもしてきた。
…ここでこんな奴と死ぬのは嫌だ。
さっきのように私に蹴られないようソファの側にいる男に今度は拳を入れる。
だけど、あまり力が入っていないようだった。
首から手は離れてくれたが、倒れるまではなかった。
「可愛くないなあ!本当に!!」
握りしめた拳をギリギリで避け、ソファから立ち上がる。
「ゴホッ!ゴホゴホ!!」
苦しい…、目が霞む。
外を見れば、轟々と煙が上がっており、この部屋にも火が回ってきていた。
「チッ!やべーな。」
流石に気づいたのか、男は助走をとって窓を割って外に出た。