陰の王子様
…とりあえず、良かった。
あんな男どうでも良いけど、死なれたら居心地が悪い。
取り残された人はいないだろうか。
気を確かに、ゆっくりと部屋を出てみれば、煌びやかなカーテンには火が燃え移っていた。
周辺の部屋だけでもと、1つ1つ中を確認していく。
いくつかの部屋を確認して、避難できたんだなと安堵しながら長い廊下を進んでると、曲がった先に1人の使用人さんが倒れていた。
「大丈夫、ですかっ!?」
「…っ、足を、捻ってしまって…。」
急いで足を確認してみれば、少し腫れていたが、それより血がでていた。
辺りにはガラスが散乱しており、その上に倒れ込んでしまったのだろうと判断する。
「すみません、少し動かしますね。」
ゆっくり使用人さんの体を持ち上げる。
小柄な女性で良かった。そうじゃなかったら、助けられなかったかもしれない。