陰の王子様
『大丈夫かっ!?』
『あはは!大丈夫!私、こういうの慣れっこなの!』
そう言うとまた鷹を追いかけて飛びだすものだから、男の子にダメ!と言われてしまう。
さっきまで私が座っていたところに連れて行かれると、『危ないだろ!』と怒られた。
それでも私が上を飛んでいる鷹を見るから、男の子は呆れたように、鷹を自分の腕に止まらせ、近くで見せてくれた。
『私も飛んでみたいな。』
『飛べる訳ないだろ。』
馬鹿にした様な言い方だったけど、距離が縮んだ気がして私は嬉しかった。
何も話さず、鷹をずっと観察していると、じっと見られてる気がして男の子を見た。
『どうかした?』
『…もう泣き止んだんだな。あんなに泣いてたのに。』
『お兄ちゃんたちが遊んでくれたから。』
俺は遊んでないと言いたげな表情にクスッと笑ってしまう。