陰の王子様
『……私も、お兄ちゃんみたいになれる?泣き虫卒業できる?』
そう言いながら未だに泣いている私
口調だけは明るくしてみる。
『…明日からな。今は泣いたらいい。俺がいるから。』
暗闇の中、私の胸にポッと灯りがついたようだった。
途端に涙が次々に溢れ出して、暗闇の中、隣の男の子にしがみついていた。
…未来が見えるのは、とても怖い。
どんな内容であれ、起きた時に良い気持ちになることはなかったから。
『…名前は?』
こんなに泣きじゃくっている時に名前聞く?なんて思いながら涙声で、『レ、レティシア・トレスっ』と名乗った。
お兄ちゃんは?と聞き返したけど、返事は返ってこず、代わりに私の右手が繋がれた。