陰の王子様






眩しい光で目を開けた私
しばらく頭が働かない。






…あれ?
働かない頭で、よく分からないまま、頭をぐるぐる動かしていると、はっと思い出した。




私は森の湖にいて、男の子と会った。

…それから、どうしたかな?



そこからの記憶はない。私家に帰って来たかな?とか、ご飯食べたかな?とか。



……ただ、今ものすごく温かい気持ち。


何だか幸せな夢を見ていた気がする。



こんなにぐっすり眠れたのもいつぶりだろうか。
深く眠りたいのだけど、どうしても夢を見てしまうから、浅い眠りに慣れようとしていた頃だった。



ぐっすり眠れて、怖い夢も見ないなんてこと滅多にないから、もう一回見ようと布団に潜り込む。
…その時、首元から何か出てきた。



触ってみれば、ネックレスが私の首につけられていた。



何だ、これ。

一瞬、戸惑ったけど、何だか外そうとは思わなかった。



……なんでもいいや。もう一回あの夢見たい。


そのネックレスを握りしめながら目をぎゅっと閉じた。


手を繋いで歩く子どもと大人がいた気がする。
きっと家族で、幸せそうだった。



どこの家族だろう。4人家族だった。
…もしかして、誰かの未来の家族かな。それなら、顔をちゃんと見なきゃ。






そんなことを思いながら、最後にあの男の子の姿が浮かんだ。






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