陰の王子様
強く言い切る王子に、そうなのかな…、と思う私がいる。
「最近は大丈夫か?」
「予知夢、ですよね…。はい、最近は見てないです。」
すみません、と頭を下げる。
「だから、何故謝るんだ。レティシアが謝る必要は今まで一度もないぞ。」
「…予知夢を見た方が、この国のためには、良いかと……。」
なにか悪いことが起こると分かっていれば、対策もできるし。
私がそう言うと、王子は綺麗な顔に皺を寄せて怒っている。
「俺はレティシアの力を利用するつもりはない。どんなことが起きようとも、逃げずに真正面から向き合って、国を良くしていくのが王族だろう。」
『怖くても、逃げることはしない。それが俺のやるべきことなら。』