陰の王子様
そして今日は城に来て欲しいと言われている。
動きやすい格好で。と言われたため、装飾が少なく、スカート部分のボリュームもほとんどないワンピースに近いものにした。
城に向かう馬車の中、やっぱりこういうドレスのほうが断然好きだなと思う。
コヴィー家から出る用事のない日には、こういった大人しめの服装でいるから、たまに着る煌びやかなドレスは違う人になれたみたいで楽しかった。
でも、最近は数日おきにイオ様と会っていたので、朝から着飾ることが多かった。
慣れないし高価なものなので、変な体力を使っていたのだ。
毎回イオ様に会う前に感じていた緊張は、身軽な体になったことで幾分和らいでいた。