陰の王子様
そう私が涙ながらに問えば、イオ様は繋いでいる手を離し、私を腕の中に包み込んだ。
「俺が直接助けてやれなくて申し訳ない。」
俯いて涙を拭いながら、ぶんぶんと首を横に何度も振る。
いつまでも横に振り続ける私に、イオ様が少し笑って、ギュッとさっきより強く私を抱きしめた。
「やっほー、レティシア」
この空間の真ん中で寝っ転がっていた人物に近寄れば、ジンがニヤッと笑っていた。
その顔を見て、さっきのことを思い出し、手で顔を隠そうとすれば、片手はまたイオ様に繋がれていることを思い出す。
それを見てまたジンがニヤニヤと見てる。
「エディ」
そんなジンを無視してイオ様はそう口にした。
すると、眩しいくらいの輝きを放つ馬が軽快に駆けてきて、イオ様に擦り寄った。