陰の王子様
確かにシャワーは浴びたい。
昨日の、彼女の生々しい感触が未だに残っているから。
「じゃあ、使わせてもらう。着替え頼むな。」
「はいよー。鍵かけれるからな。」
バタンとドアが閉まり、そこにあった鍵もしっかり閉める。
久しぶりに見た鏡に映る自分
あまり、見たくなかったが、この姿でいる方が長くなった。
視界に入る真っ黒な髪を手のひらでグシャッと握る。
『クロードが襲わせたの。』
『襲った事実が広まらないようお父様に…』
苦しい…。
だが、少しだけ真実はわかった。
前向きにこれからのことを考える。
過去の悲しみを晴らすために…。