陰の王子様
国王様と王妃様との食事は、緊張しつつも、楽しいものだった。
あの時、一度会って話していたのが大きかったのだろう。
今日の会話も私のいた里の話が中心だった。
コンコン
食事を終え、お風呂も終わり、部屋でくつろいでいた。
そして、スズがおやすみなさいと出て行った数十分後
部屋の出入り口とは違う、どこからか聞こえる。
え?と思い、立ち上がって来たばかりの慣れない部屋の中を恐る恐る見ていく。
すると、またコンコンとなり、聞こえたその音の方へ振り返れば、キィとドアが開き、そこにイオ様が立っていた。
「えっ!?」
「ごめん、聞いてなかったか。…こっち俺の部屋なんだ。」
ドアを大きく開け、私に部屋の中が見えるようにしてくれるイオ様