陰の王子様
っ!!
「イオ様っ!」
さっきまで躊躇していたのはどうしたと言わんばかりに、イオ様の部屋に迷わず入り、イオ様の元へ駆け寄る。
「どうした。何かあったか?」
ソファから立ち上がり、心配そうに私を見るイオ様
私は首元のネックレスをぎゅっとストールの上から握りしめ、今、目の前で私を心配してくれているイオ様と真摯に向き合う。
「不安な時、ネックレスを握っていると何故か落ち着くんです。」
私が言おうとしていることが分かったのか、イオ様は心配な表情から優しく見守るような表情に変わった。
その表情を見ると、涙が込み上げてきた。
「っ、何で…?私、いつ、イオ様から貰ったんですか?……私っ、覚えていなくて…。」
ぎゅっと強く大きな腕に包まれる。