陰の王子様






グスッと本格的に泣き始めてしまった私の頭を優しく撫でているイオ様



イオ様は何も言わないものの、優しく包まれていると、安心感があった。








「それを作ったのは、12歳の時。父が母に贈っているのを見て真似したんだ。」


抱きしめられていた体が離れ、腰にイオ様の手が回り、ソファへと促される。





すると、タイミングよくジェハさんがワゴンを押してやって来た。


私がイオ様の側にいるのを見ると、ものすごく優しい顔になった。



「私、とても嬉しいです。お2人が並んでいる姿がこれから毎日見られると思うと…。イオ様、長年の思いが実ったこと、心から祝福いたします。」



「ジェハにも色々気苦労させたな。」

「そうですね…。まだ時期じゃないと何度もレティシア様とお会いになるのを断られました。」


お2人の話についていけず、目をキョロキョロさせていた私にジェハさんが温かいお茶を出してくれた。





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