陰の王子様
それに1度だけぐっすりと眠れた日があった。
確かその時に、このネックレスを身につけていたことに気づいたんだ。
「湖のことは思い出せないのですが、…おそらく、このネックレスを頂いた日、私は深い眠りについていたのです。夢を見なかった嬉しさに加え、知らないネックレスには不思議と心を落ち着かせてくれるような気がしていました。」
イオ様に目を向けると、少しだけ驚いたものの、頬が緩んでいった。
「そうか。レティシアの気を安らげる効果があったとは。贈って良かった。」
腰に回していた手を頭に優しく乗せ、丁寧に撫でている。
「ありがとうございます。……あっ、そういえばこの間も安眠できた時があって。…ええっと、あれは確か…。」
起きたらジンがいて、スズもいた。
それにクロードさんも。
「あの、実は、私。騎士として…ク、クロード、さんのパーティーに出ていたんですけど、色々あって、朝気づいたらすごい部屋で寝ていたことがあったんです。」