陰の王子様
クロードの名前を出すことに躊躇したが、イオ様とジェハさんの顔を交互に見ながら、その部屋がすごかったことを伝える。
が、何の話をしているんだと、気づき、
「ええっと、その、…あの時も、深く眠れたのに、夢を見なかったなあ、と…。」
部屋の凄さを語っていた自分に恥ずかしくなりながら、言いたかったことを伝える。
「あっ、あの時ですね。よく覚えていますよ。やっとイオ様が行動に出た時でしたから。」
「え?」
「眠ったレティシア様をご自分のベッドに寝かせて、イオ様はレティシア様に一晩寝ずにつきっきりでした。」
え?
……えっ?
「何から何まで全部言う勢いだなジェハ」
「お許しを。嬉しくてつい口が止まらないんです。」
終始顔が緩んでいるジェハさんにイオ様はため息をこぼし、私の顔を覗き込んだ。
「ジェハは口が止まらないらしい。今日はもう寝るか?」
綺麗な顔と至近距離で見つめ合うから、さらに混乱してくる。