陰の王子様





ストールを握りしめていた両手で頭を抱え、イオ様と見つめ合う目を強引に逸らす。



「レティシア、前がはだけて…、」

「……私、イオ様の私室で呑気に過ごしていました。」



そう。
目が覚めて、シャワーをジンに勧められた。

部屋にあった果物も食べて良いと言われ、スズと食べながらゆっくり話していた。



知らなかったとはいえ、王子の私室でなんということを…。


「俺がそうさせてくれとジンたちに言ったんだ。シャワー浴びたいだろうから、俺の服を貸した。食事は食べれるか分からなかったから、果物を用意していた。全部俺が勝手にしたことだから、レティシアが気にすることは何もない。」



「えっ…。」




頭を抱えたままの私と再び目が合うと、イオ様は私の両手を手に取り、はだけていたストールを直してくれた。


「…正直、ジェハにここまで暴露されて恥ずかしいんだが。本当のことだからな。」




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