陰の王子様
「それに、レティシアが夢を見なかったという話だが、…もしかしたら、俺が側にいるとゆっくり眠れるのかもしれないな。」
!!
言われると確かにそうかもしれない。
目を見開いた私をイオ様は抱きしめた。
ああ…、ものすごく安心する。
高鳴る音を聞きながら、広い大きな胸に無意識で擦り寄っていた。
そんな2人を見つめるジェハの目には、うっすら涙が込み上げる。
邪魔にならないよう、そっと気配を消して部屋を出た。
「レティシア、これから先、予知夢を見たとしても、俺に知らせようとしなくて良い。」
「えっ…、どうして、ですか。」
「俺はレティシアのその力が欲しくて一緒になるんじゃない。ただ、レティシアに側にいて笑っていて欲しい。」
きつく抱かれた腕が緩み、こつんと額同士がくっつく。
「昔から俺にはレティシアだけが特別な子だった。…そして、さっきジェハが言ったように、あの湖で、『この子は俺が守ってみせる。』そう誓った。」