陰の王子様





「騎士服のレティシアも綺麗で、あの男だらけの騎士団で何か起こらないか気が気でなかった。だから、ジンにしょっちゅう騎士団に行かせてた。ローガンやサンチェにも守るよう言っていた。」



……本当にそう、なんだ。

ジンにお礼言っておいた方が良いかな。



そう考えていると、イオ様が優しい手つきで私の髪を撫で始める。





「黒髪も綺麗だが、本来のレティシアはもっと綺麗だろうな。」




騎士服姿も綺麗だと言ってくれた。
必死で染め続けた偽りの髪色も綺麗だと言ってくれた。



嬉しい言葉を貰いすぎだ。

疼く胸と、この気持ちを返す方法が思いつかず、目の前の大きな体に抱きついた。


「ありがとう、ございます…。私、幸せですっ。」




隙間を無くすように縋り付く私
イオ様も力一杯私を抱きしめてくれた。




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