陰の王子様
「お久しぶりです、キラさん」
「可愛い〜っ!!あっ!ねえ!イオ王子の婚約者のレティシア・コヴィーって。」
「はい、私です。」
キャーッと甲高く言い、私の両手を握って喜んでくれている。
ブンブンと上下に掴まれた両手を振られ、迫り来るキラさんの圧に体が引き気味になる。
だけど、こんなに自分のことのように喜んでくれるのはとても嬉しい。
あの時、キラさんに温めてもらい、女だと打ち明けたことは、味方ができたようでホッとしたのを覚えている。
「レティシアちゃん、私はこれからもレティシアちゃんの友達だよ!頼りないと思うけど、私にもレティシアちゃんを守らせて!」
「キラさんっ…。」
「簡単には会えないと思うけど、ここには私がいること忘れないでね!レティシアちゃんがいつ来ても受け入れるから!」
優しい言葉に涙が溢れる。
何度も頷いて、私の手を握ってくれているキラさんの温もりにも安心した。