陰の王子様
「っ!………また、あの夢…。」
どうしようもない感情に髪の毛をぐしゃりと握る。
あれは…、間違いなく、自分なんだろうな。
ガクッと頭から手を下ろし、ボーッとベッドを見つめる。
そんな中でも、手は無意識に首にぶら下がっているものを握りしめた。
そうしていると、次第に気持ちが落ち着いてくる。
このネックレスは自分の知らない間につけていた。
正直、よくわからないネックレスを自分のものとしてつけてていいのかわからなかったが、これを身につけていると安心した。
5センチ程の緩やかな曲線のみのシンプルなネックレス
シンプルすぎてこのネックレスからは、何も手がかりは掴めない。
でも、自分はそのシンプルさが気に入っていた。