陰の王子様
このたった数日の出来事が何ヶ月かのことのように感じた。
あの日の真実を知り、キラさんに助けてもらい、予知夢を見る。
自分のやるべきことが急激に進み始め、今さら現実味を感じてきた。
「また会ったね。…シンア、だっけ?」
「はい。」
それに任務から城に帰ってきた日から、やたらと王子と遭遇する。
今までは滅多にすれ違うこともなかったはずだが。
こうも頻繁に遭遇すると、勘ぐってしまう。
"王子が自分に何かするつもりではないか"
と。
警戒はしているが、この人は王族で、自分は騎士
立場がはっきりしてるために、何も対策できないのが現状だった。
「今から庭へ行くから、護衛しろ。」
そう言ってスタスタ歩く王子の後ろ姿を目にし、ふぅと息を吐く。
隙を見せてはいけない。