陰の王子様
賑やかな通りがそろそろ終わる頃、
「キャーーー!!!」
「あっちだ!」
突然の叫び声に驚き、ざわめく人々をかき分け、声のした方へと急ぐ。
裏道の建物の間に女性と複数人の男の姿がわずかに見えた。
「シンア!女性を頼む!」
「はい!」
近づいたローガンさんが騎士団だと気付いた男たちは、自分たちの力量を試したいのか、無謀にも殴りかかろうとしている。
相手は男5人
一斉に殴りかかるが、ローガンさんは素早く避け、1人1人確実に相手の動きを封じていく。
その隙に被害女性のもとへと急ぐ。
「大丈夫ですか?」
声をかけるとビクッと肩を揺らし、ガタガタと震えだす。
来ている服はあちこち破け、服が役目を果たしてるとはいえない状態だった。
着ていた騎士の上着をそっと肩に掛け、彼女から男たちが見えないよう、少し離れて立っておく。