陰の王子様
王子の近くには護衛はいなかった。
そのため、この綺麗に整備された庭に王子と2人。
何を言われるのか…。
立ち止まり花を見ている王子の3歩後ろで、考えていた。
「俺のこと好きになった?」
…
何も返せないでいると、王子がこちらを向き、ニヤッと笑った。
「君は、俺を追ってここまで来たんでしょ?わざわざ男になりすましてまで。…いいよ、昔のことは許してあげる。」
"許してあげる"
その言葉が頭に張りついた。
「君は素晴らしい能力を持っているんだ。それに、君を側に置けば見映えがいい。国民から支持を得られるよ。」
「俺のところに来るなら一生苦労はさせないし、おまけにこの尊い血が君の子に受け継がれる。こんな良い話はないよ?」