陰の王子様
朝、目覚めると胸元には黒に少し茶が混じった鳥がいた。
起こさないよう慎重に体を動かし、顔を見てみる。
「えっ、鷹…?」
鷹…
いや、その前にこの鳥が鷹だと断言できるほどの知識は自分にはない。
でも、何故だか直感で鷹だと思ったのだ。
数日間の拘束生活は、この鷹のおかげで退屈しない日々だった。
夜遅くに窓からやってきて、自分の胸元に収まり、共に寝る。
朝、サンチェさんが食事を持ってくる足音が聞こえるのか、サッと窓から出て行く。
それ以外の時間は、部屋にいたり、いなかったりしている。
時には1輪の花を持ってきたり、自分のくちばしで咥えられる果物を色々持ってきたり。
こんな生活が5日ほど続いた。