陰の王子様







「……あのっ、あ、ありがとう、ございます…。」






ローガンさんが男たちを封じ終え、ジンと男たちをどうするか話している時、後ろからか細い声がかかった。



騎士の上着を胸の前でギュッと合わせ、涙でいっぱいの目を何とか自分に向けようとしてくれている。



「いえ。お怪我はありませんでしたか?」


「はい…。あなた方が助けてくれたので。」


そう言い、ほっとしたように笑う彼女

つられて自分も笑顔になる。




「良かったです。」



すると彼女がパッと下を向き、どうしたのかと近づき覗き込もうとしたら、突然バッと顔を上げ、




「あ、あの!お名前教えてください!」



お名前…?


「シンアと申しますが…」




名前がどうかしたのか?



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