陰の王子様
チラッと俺を見て去って行く。
「うふふ。あの子ったら、優しい子だわ!」
上機嫌に部屋へと帰っていくエレン
2つ空いた席の向こう側から視線が向く。
「…何か。」
「いいえ、あなたはあなたの思う通りにやればいいのよ。私たちはあなたの考えを邪魔しようなんて思ってないから。ね?」
「そうだ。お前のことは信用してるからな。助けが必要ならば、いつでも言ってこい。」
「良かったですね。イオ様」
「うるさい。行くぞ。」
何も返さない主の代わりに、側近が王と王妃に向けて、深々と頭を下げる。