陰の王子様
こんなもの着れる訳がない。
それに、まだ自分はこの国の騎士だと思っている。
今も着ている騎士服をぐっと握りしめた。
今更ながら、偽りの自分の方が割りに合っていたと感じる。
思い返せば、昔から家でじっとしているような子供ではなかった。
外に出て遊び回り、汚れて帰ってくる。
昔を思い出し、涙が溢れそうになった。
ふうっと息を吐き、騎士服に手をかける。
着替えたくないが、サンチェさんが怒られると言われてしまえば、拒否できない。
名残惜し気に1つ1つ丁寧にボタンを外していき、胸のさらしが露わになった。