陰の王子様
…本当にサンチェさんがわからない。
モヤモヤしながらも、着ていた動きづらいドレスを脱ぎ捨て、流れるように騎士服を着ていく。
着方が体に染みついていることに、改めてこの国で騎士として過ごした年月の長さを知る。
その時、
バサバサッ!!!
「!!?………どうした?」
部屋の中に入ってきたのは、鷹だった。
まっすぐ自分のところに飛んでくると、一瞬だけ肩に乗り、すぐさまドアの方へと飛んでいった。
そして、ドアを開けろというように、羽でドアをバサバサ叩いている。
「まさか、………ついて来いってこと?」