陰の王子様
そんな自分の問いに鷹が答えるはずもなく、ひたすらドアを叩いている。
不思議に思ったが、ここに来てから、何日も共に過ごしたこの鷹なら、信頼できる。
音が聞こえないのを確認して、ドアを開けた。
すると鷹は、左にバッと飛んでいき、自分も置いていかれないよう、必死で着いていく。
走りながら周りを見渡すが、見覚えはなく、知らないところだった。
やはり、クロードの私室や側室たちの部屋があるあの棟か。
王城の隣に立っているため、クロードに関わることのなかった自分でも、ここが敷地内のどこかはわかる。
走りながら城下へどう出るか考える。
…いや、この騎士服を着ていたら、正面突破できるのか…?