陰の王子様
「はぁ…、もう大丈夫か。」
着ていた騎士服の上着を脱ぎ、草むらに畳んで置いた。
「……お世話になりました。」
グッとくるものがあるが、今はそれどころではない。
まずはここを抜けて、安全なところへ行かなければ…。
ここは、王城の敷地内でも隅の方にある森
騎士団が使用する馬たちがいる小屋のすぐ側にあり、簡単に出入りはできるとこだが、見回りがいるはずだ。
なるべく音を立てず、微かな物音も聞き逃さないよう神経を尖らせ、素早く森を抜ける。