また会える。

別れ

『明日帰るよ』
『楽しみ!!』
『たくさん一緒にいよー』
『うん。待ってるよ!』
『もうすぐ着く』
私は気分がよかった。礼偉が帰ってくる。会える。そう思っただけでワクワクする。
だが、その言葉を最後に2時間以上連絡が来なかった。
私はこの日予定があって夏のように駅までは迎えに行けなかった。

((ピンポーン))

家のインターフォンが鳴る
「はい」
「花菜ちゃん!??すぐ来て!!」
そうインターフォン越しに言ったのは礼偉のお母さんだった。



「え、、、」
私が連れてこられた先は新幹線が止まる駅に1番近い大きな病院だった。中に入ると色んな人が泣きわめいていた。なにこれ。なんなの。こんなの初めてだよ。
「花菜ちゃん。本当にごめんね」
礼偉のお母さんは私に向かって謝った。私は今この場で何が起こっているかわからなかった。私は震える手で連れてこられた病室のドアを開ける。そこには苦しそうな、生気のない礼偉が横たわっていた。
「れ、い??」
私は礼偉の手を握って叫んでいた。
「礼偉!礼偉!礼偉。起きてよ。ずっと一緒って言ったよ?」
そう言って泣き崩れそうになった時だった。礼偉の目から涙がこぼれた。手をぎゅっと握ってくれた気がした。それを最後に礼偉は亡くなった。

その日私は礼偉のそばから離れられなかった。一晩中泣いた。泣いて、泣いて、泣いた。

気がついたらお花畑の真ん中にいた。礼偉に抱きしめられていた。私は礼偉が亡くなったことを忘れてその温もりを感じていた。すると礼偉がゆっくりと話し始めた。
「花菜。ごめんな。俺もう近くにいてやれない」
「なんの話し?今こうやってしてくれてるよ?」
私は抱きついたまま礼偉の顔を見て話す。
「俺、お前を残して死んじまった。これから先もずっとお前を守っていくつもりだった。歳をとってもずっとずっと一緒にいたかった。だけど、死んじまった。ごめんな。花菜。泣かせてごめんな。」
「なんでそんな事言うの!!礼偉は死んでないよ。だって今ここにいてくれる。」
「花菜」
私の名前を呼んで礼偉は離れた。礼偉の姿は透けていた。
「え?、れ、い?」
「ごめんね。愛してるよ。幸せになれよ」
そう言って礼偉は光る泡となり、消えていった。優しい日差しと、花に囲まれ、私は一人静寂の中にいた。最後に見た礼偉の涙は驚くほど綺麗で真っ直ぐだった。
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