1日限定両想い
須崎はそんな子じゃない。
課題の提出が遅れてしまうのには、どうすることもできない理由がある。
勝手に決めつけて無駄に傷つけるようなことはしてほしくなかった。
何も言わずに耐えて、その後に流した涙。
ほとんど手をつけられることのなかった弁当。
落ちていた薬。
新田先生は悪くない。私を助けてくれた。
何もしてあげられない苦しさを救ってくれたのはそんな須崎の言葉だった。
静かな部屋に響いたスマホの通知音で我に返る。
"了解"という一言だけのメッセージは菊池先生からのものだ。
俺が須崎を相談室へ連れて行った後、菊池先生がそのドアを開いた。
須崎は俺の手を払いのけた拍子に座り込んでしまい、俺もその横で同じように座り込んでいた。
あのときの菊池先生の表情は心配よりもずっと怒りの方が大きくてたじろいでしまった。
須崎に何したと聞いたときの、射抜くような視線。
いつから菊池先生は、あんなにも須崎を守ろうとしていたのか。