1日限定両想い
『須崎が…先生に何ができるんですかって言ったんです。』
『え?』
声を漏らしたのは里谷先生だけで、俺は一言の相槌すらも出てこなかった。
『何かあったら言えって言うけど、言ったところで何が変わるんだって。』
『須崎さんがそんなこと…?』
『おじさんもおばさんも何もしてくれない。おじいちゃんにご飯を食べさせて、おむつを買って来てって言ってもいいのかって。できないでしょって…。』
一言一句忘れられない、そんな風に話す新田の表情は打ちのめされたまま変わらない。
そして同じように、俺も打ちのめされていた。
須崎のその言葉に。
どうしようもない孤独に。
俺も言ったから。
何かあったらいつでも言えと、連絡先まで教えた。
だけどそれ以降須崎から連絡がきたことはなくて、校内で話すこともなくなっていた。
須崎の為を思って言ったことが、ずっと須崎を苦しめていたのだろうか。
傍へ行きたかった。
この腕で、あの頼りなくて小さな須崎の存在を確かめたかった。
なのに、たった数歩で辿り着ける距離があまりにも遠い。