1日限定両想い

『もし良かったら一緒に食べない?』

「あ、えっと…」

『話したいことがあるんだ。』


その一言と先輩の真剣な眼差しに自然と頷いていた。

最近先輩とは病院でも学校でもほとんど顔を合わせていなくて、話すのは久しぶりだった。

菊池先生のところへはまた明日行くことにする。



『じいちゃん、施設に入れることになったんだ。』

「そうなんですか?良かったですね。」

『うん。ありがとう。』


先輩のおじいさんは祖父と同じリハビリ病院に入院していた。

ずっと施設の順番待ちをしていることも聞いていたから、本当に良かったと思う。

なのに先輩はどこか浮かない表情だ。



「先輩?大丈夫ですか?」

『あぁ、ごめん。家族もほっとしてるし俺も安心したんだけどさ…』

「けど…?」

『須崎さんのこと置いてくみたいで、悪いなって。』


私のことを置いていく。

それはおそらく、あの病院にということだろう。


祖父の施設はまだ見つかっていない。

祖母も順番が回って来ないし、いずれ祖父が退院すれば家で2人の介護をすることになる。



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