1日限定両想い

1人でも大変な思いをしていることを先輩は知っているから、心配してくれているのだろう。



「私なら大丈夫ですよ。」

『大丈夫には見えない。』

「え…?」

『じいちゃんが施設に入ったらもう病院行くこともなくなるし、須崎さんと話すことも少なくなると思う。これまでみたいに須崎さんの様子を見れなくなるのが心配なんだ。』


お弁当に視線を落として話す先輩の横顔はとても切なげで、心から言ってくれていることが伝わってきた。

先輩はいつだって、自分のことよりも周囲のことをよく見ている。

踏み込みすぎず、絶妙な距離感を保ちながら味方でいてくれる人だ。


でも…



『俺はこれからも須崎さんのことを近くで見ていたい。力になりたいし、支えたい。』


でも私にとっての先輩は、先輩で。



『好きなんだ。須崎さんのことが。』


私が好きな人は…?



『いつも傍にいてあげたい。だから…俺と付き合ってくれませんか?』


私がいつも傍にいたいのは…?



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