1日限定両想い

「先生どうしよう…おじいちゃんが…病院に行かないといけなくて…。」

『今どこにおるんや。』


向かっていたバス停の名前の告げると、菊池先生はすぐに行くと言って電話を切った。

なんとか目印となるバス停まで歩くと、菊池先生の車は本当にすぐに来てくれた。



『乗れ。病院まで送るから。』


菊池先生の顔を見た瞬間、これまでの不安が嘘のように力が抜けた。



「弟も連れて行かないと…」

『1回家寄ったるわ。ばあちゃんは?』

「今日からショートステイなのでいません。先生、学校は?」

『ちょうど帰るとこやったから大丈夫や。気にすんな。』


あぁ、なんでだろう。

どうして菊池先生の隣にいると、こんなに心が落ち着くのだろう。

隠さないといけないと思っていたのに。

こんな風に飛んで来てくれたら、私ますます先生のこと…



『車停めてくるからここで降りろ。』

「ありがとうございました。」


病院へ到着すると弟と2人で駆け込んだ。

お願い…お願い…

祈るような気持ちで入った病室で、母と叔父さん、そして叔母さんがベッドを囲んでいた。



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