1日限定両想い
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全てがあっという間だった。
お葬式は泣く暇もなく忙しいというのは本当みたいで、状況も現実も飲み込めないまま時間が過ぎ去っていた。
『もしもし。』
「こんばんは。須崎です。」
『あぁ。』
お葬式を終えた夜、ベッドに横になったまま菊池先生に電話をかけると、いつも通りのぶっきらぼうな声に心が安らいだ。
この声は無愛想なのではなく不器用な優しさなのだと知っているから。
『大丈夫か?』
「はい…。」
2人とも、しばらく何も言わなかった。
電話の奥から微かに聞こえていたテレビの音声が切れて、完全な静寂が訪れる。
「先生、会いたいです。」
無意識の内に呟いていた。
菊池先生に会いたい。
会って話したくて、抱きしめてほしくて。
『明日会うか。どこか遠く行こう。』
「菊池先生…」
必死で涙をこらえながら、その言葉を繰り返しかみ締める。
どこか遠く。
菊池先生が連れて行ってくれるならどこだって良かった。
ただここじゃないどこかへ、静かな場所へ行きたかった。