1日限定両想い
その事実が、俺の気持ちを打ち砕いた。
菊池先生がいなくなったら俺にチャンスが回ってくるかもしれないなんて、少しでも思った自分が恥ずかしい。
こんなにも須崎とその未来を守ろうとした菊池先生の想いを俺が守らなくてどうする。
「不器用だな、本当に…」
『え?』
「なんでもない。」
胸の苦しさに耐えきれずこぼれた一言を聞き取られずに安堵する。
分かりましたよ、菊池先生。
須崎を頼むなんて、俺の気持ちを知らずに言いやがって。
仕方ないから頼まれてやろう。
須崎が傷つかないように。
そして、悪い虫がつかないように。
しっかり見ててあげますよ。
「心配しなくても、またいつか会える。」
『会えるのかな…』
「会える。俺が約束する。」
大阪へ帰ってから菊池先生がどうしているのかは知らない。
だけどいつか2人が堂々と会える日が来たなら、必ず居場所を見つけて会わせたい。
そして俺の想いは、この胸にしまい続けると決めた。