1日限定両想い

聞きたくないと思った。

どんな話なのか想像もつかないのに、なぜかとっさにそう思っていた。



『菊池先生が辞めたのは、俺のせいなんだ。』

「…え?」


すぐには、今聞いたことの意味が理解できなかった。

まさに想像もつかなかった方向から飛んできた話に返す言葉を失くす。



『菊池先生と須崎さんが一緒にいるところを見て校長先生に言ったのは、俺です。』

「先輩が…?」

『須崎さんのおじいさんが亡くなった直後だったし、何か事情があるんだとは思ったんだけど…自分が振られたからって自棄になってた。』


これまで接してきた先輩の姿とは結びつかなくて、今目の前にいる先輩の輪郭がどんどん掴めなくなる。



『菊池先生が休み始めて冷静になって、何もいきなり校長先生に言わなくても菊池先生に直接聞けば良かったんだって後悔して…。後で謝ろうと思ってたら辞めちゃうし、本当に俺のせいで…ごめん。』


次から次へと溢れ出る言葉の何ひとつ、うまく受け止めることができなかった。



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